戸建てとコンドミニアムの価格推移から見るグアム不動産市場
グアムの不動産市場は、この10年間で大きく変化しました。特に目立つのが住宅価格の上昇です。約10年前には20万ドル台で購入できる戸建ても珍しくありませんでしたが、現在では40万ドル台が一つの中心価格帯となっています。コンドミニアムについても、以前は20万ドル以下の物件が比較的多く見られましたが、現在では30万ドル前後まで価格帯が上昇しています。
Cornerstone Valuation GuamなどがまとめたGuam MLSベースの市場データを見ると、この変化がより明確になります。2016年から2025年までの約10年間で、戸建ての販売価格中央値は$245,000から$435,000へ約77.6%上昇し、コンドミニアムは$186,000から$320,000へ約72.0%上昇しました。
戸建てとコンドミニアムの価格推移
| 年 | 戸建て・販売価格中央値 | コンドミニアム・販売価格中央値 |
| 2016 | $245,000 | $186,000 |
| 2017 | $240,000 | $200,000 |
| 2018 | $265,000 | $187,900 |
| 2019 | $299,000 | $232,000 |
| 2020 | $333,500 | $215,500 |
| 2021 | $380,000 | $269,000 |
| 2022 | $420,000 | $315,000 |
| 2023 | $400,000 | $320,000 |
| 2024 | $428,000 | $313,500 |
| 2025 | $435,000 | $320,000 |

図1:グアム 戸建て・コンドミニアム販売価格中央値の推移(2016~2025年)
戸建ては「20万ドル台」から「40万ドル台」の市場へ
2016年の戸建て販売価格中央値は$245,000でした。その後、2019年には$299,000、2020年には$333,500、2021年には$380,000、2022年には$420,000まで上昇しました。2023年には一時$400,000となったものの、2024年には$428,000、2025年には$435,000となっています。この推移からは、一部の高級住宅だけが値上がりしたというより、グアムの戸建て市場そのものの価格帯が一段上へ移動したことが読み取れます。
コンドミニアムも約72%上昇
コンドミニアムも長期的には大幅に上昇しています。2016年の販売価格中央値は$186,000でしたが、2019年には$232,000、2021年には$269,000、2022年には$315,000まで上昇しました。その後も2023年$320,000、2024年$313,500、2025年$320,000と高い水準を維持しています。グアムでは立地、眺望、Fee SimpleかLeaseholdか、築年数、管理費、リノベーション状況などにより価格差が大きいため、年ごとの中央値は変動しやすいものの、10年間の方向性は明確です。
大きな転換点となった2019年から2022年
価格推移を見るうえで特に注目したいのが2019年から2022年です。戸建ては$299,000から$420,000へ約40%上昇し、コンドミニアムも$232,000から$315,000へ上昇しました。この時期には低金利、住宅供給不足、建設コスト上昇など複数の要因が市場に影響しました。
価格上昇の一方で取引件数は減少
住宅価格と合わせて見るべきなのが実際の取引件数です。戸建ての年間販売件数は2021年の857件をピークに減少し、2025年には527件となりました。コンドミニアムも2022年の397件から2025年には219件まで減少しています。
| 年 | 戸建て取引件数 | コンドミニアム取引件数 |
| 2019 | 684 | 341 |
| 2020 | 636 | 245 |
| 2021 | 857 | 359 |
| 2022 | 702 | 397 |
| 2023 | 529 | 244 |
| 2024 | 553 | 260 |
| 2025 | 527 | 219 |

図2:グアム 戸建て・コンドミニアム年間取引件数(2019~2025年)
この二つのチャートを比較すると、現在のグアム市場の特徴が見えてきます。価格は10年間で大きく上昇している一方、近年の取引件数は減少しています。つまり現在の市場は、「価格が下がったから取引が減った」というよりも、「高い価格水準を維持したまま取引件数が減少している市場」と見ることができます。
なぜグアムの住宅価格は上昇したのか
グアムは島であるため住宅を供給できる土地やインフラに限りがあります。また、建築資材の多くを島外から輸送する必要があり、輸送費、資材価格、人件費などの上昇は新築住宅価格に影響します。建設労働者不足や許認可、インフラ整備も住宅供給を難しくする要因です。さらにグアム特有の要因として、米軍関係者による住宅需要があります。軍人向け賃貸ではOHA(Overseas Housing Allowance)が家賃水準に影響するため、米国本土とは異なる需要構造があります。
日本人オーナーには「価格+為替」の効果
グアム不動産は米ドル建てで取引されるため、日本人オーナーにとっては物件価格だけでなく為替も重要です。10年前に購入した物件がドルベースで値上がりし、さらに購入当時より円安になっていれば、日本円換算した資産価値がより大きくなっている場合があります。一方、現在日本円から新たに購入する場合には、円安が取得コストを押し上げます。そのため、不動産価格・為替・賃料を合わせて判断することが重要です。
過去10年間の数字が示すグアム不動産市場
2016年から2025年までで、戸建ては$245,000から$435,000へ約77.6%、コンドミニアムは$186,000から$320,000へ約72.0%上昇しました。一方、近年は取引件数が減少しているにもかかわらず、価格は10年前の水準へ戻っていません。過去10年間の数字を見ると、グアムの住宅市場は「取引量を伴って価格が上昇する市場」から、「取引件数は減少しているものの、高い価格水準を維持する市場」へ変化してきたと見ることができます。
出典:Cornerstone Valuation Guam, Inc.、Guam MLSベースの市場データ等。年によって統計の集計方法・対象期間が異なる場合があるため、市場全体の傾向を把握するための指標として記載しています。